退院後に起こり得る高齢者の身体の変化

加齢によって、環境の変化への対応が難しくなります。特に、入院をした場合、自宅の生活とは大きく異なるので、高齢者は体力的にも精神的にもさまざまな影響を受けます。
加齢によって、筋力や持久力などの運動機能が低下するだけでなく、呼吸や消化、吸収などの内臓機能も衰えていきます。また、記憶力や学習能力の低下など、精神的な機能も衰退します。

このような生理的変化は、加齢が進むと誰にでも起こり得ることですが、入院という大きな環境の変化や治療によるストレスによって、身体の機能が急激に低下してしまうことがあるのです。そして、退院後に、入院の原因となった病気やケガとは関係のない病気にまでかかってしまうケースもあります。
また、高齢者の入院が長期にわたった場合、さまざまなリスクを引き起こす恐れもあります。入院中は、ずっと同じ姿勢で過ごすこともあるため、体の同じ部分が圧迫され皮膚障害を起こす床ずれを起こすことがあります。

また、体力と筋力が衰えることで、入院前は歩けていた人が歩けなくなったり、転倒しやすくなったりすることがあります。さらに、環境変化のストレスによって、脳に直接的な病気がなくてもせん妄という意識精神障害を起こし、幻覚や興奮などの症状を引き起こす恐れもあります。
その他にも、脳への刺激が少ない生活を続けることで認知機能が低下したり、内臓の消化吸収機能が衰えて栄養不足につながったり、長期の入院によって多くのリスクが発生します。